なんとなーくメロディーをみて、コードを読んで演奏するのもアリですが、楽譜を見たら、まず『これは何調かな?』と判断できたほうが便利です。
『これは○○調』と思いながら演奏すると、よりニュアンスが伝わって上手に聴こえますし、次に来るコード・展開が予測できるので、あらゆるシーンで有利になります。
普通なら調号を見て判別するのがいちばん速いのですが、耳コピーなどで楽譜が手元にない場合などには、曲の流れをくんで、自分で調を判断するしかありません。
今回は2種類の調の判別のしかたを、ご紹介します。
その1:曲の最後の1音で判断する
実際世の中に存在している楽曲の9割9分がこのやり方で調を判断できてしまいます。
どういうことかと言うと、メロディーの最後に使われる1音は、そのほとんどが主音です。
主音がわかれば、もうそれがそのまま調の名前ですから、すぐに何調かを判断することができるというわけです。
(※長調の場合! 一番最後の音が『ド』なら→日本語で『ハ長調』、英語で『C』)
ですが、これは100%正解できるワザではないので、音楽教室などではやってはいけない禁じ手とされています。
音楽の基礎力を試す練習問題などには、この手を防ぐために曲の途中までしか提示されていなかったり、主音で終わらないように工夫されていたりするので、要注意です。
この手法はあくまで、実生活で触れる音楽に効果がある判断の方法です。
(ただし)長調か短調かの判断は自力で!
とはいえ、このやり方を持ってしても、完全な思考停止状態で調を判断できるわけではありません。
なぜなら、同じ音を主音とする調が2種類あるからです。つまり、最低でも長調か短調かの2択については、自力で判断しなければならないということになります。
しかし、調は長調・短調合わせて全部で24。24分の1から、2分の1にまで一気に絞り込めてしまうというのは、あまりにも大きなアドバンテージというもの。使わない手はありません。
その2:和音をイメージして判断する
これをやれば、メロディーが途中までで終わってしまっていたとしても、調を判断することができます。
ウラで鳴っている(鳴っていると推測される)和音を考えることで、何調かを探っていきます。
手がかりは色々とありますが、一番早いのは、トニック( I 度)がなんの和音かを見つけることです。
トニック( Ⅰ 度)とは曲のなかで、『戻ってきたな』『戻りたいな』と思わせる、ホームポジション的な和音です。
そんなⅠ度にあたるコードがCならハ長調、Gならト長調、Dmならニ短調…という算段です。
実際に I 度をさがしてみよう
この馴染み深い『ちょうちょう』のメロディーの一部を例にとって、どの和音が Ⅰ 度なのかを実際に見てみましょう。
まずは、メロディーをたよりにしてざっと『和音づけ』をします。
!和音づけのコツ!
じつは、メロディーラインをしっかり見れば、ほとんどそれだけで和音を推測することが出来てしまいます。
出だしのメロディーは、『ソミミ ファレレ』となっており、ほとんど正解が丸出し状態です。
ソ・ミ、が含まれる和音で、この部分にしっくりくるのは『ドミソ』。ファ・レ、が含まれて、ここで鳴るべき和音は『シファソ』。
そうです。案外和音というのは、メロディーとほぼほぼリンクしているので、このように簡単に見つけることが出来てしまいます。
あとは、その見つけられた和音の並びのなかで、いちばん『おさまりがよい』和音をひとつだけ、選んでください。そのコードが Ⅰ 度であり、そのまま調の名前になります。
文章でいうところの『。』をさがしていく感じです。
おさまりのいい部分はこんなところでしょうか
そして、その『おさまりのいい瞬間』に鳴っている『C』のコードこそが、この曲の I 度にあたります。
つまり、この曲は『ハ長調』だとはっきり断言することができるというわけです。
おつかれさまでした
実際のところ、はじめのうちは『その1』で紹介した『ラスト1音で判断』のやり方で、ほぼ困らないです。長調か短調か迷ってしまうような曲は、本当に少ないので。
この『はじめのうちは』というところが肝で、最初はどんなにズルイ手、便利な道具、その他もろもろを駆使してでも問題に向き合っていく姿勢が大切だと思います。
やっていくうちに、『これってもしかしたらAだったらBなのでは?』というように、自分なりの最適な解法が見つかるものです。