お店に入ると、ほとんどの場所で何かしらのBGM(いわゆる有線放送)が流れています。流行りの洋楽から、懐かしのJ-POP。耳障りの良いクラシック、かるーいボサノバなどなど…。ジャンルも楽器も歌のアリナシも様々です。
みなさん好みは別れるかと思いますが、どこへ行っても何かしらの曲が鳴っているのが街の日常です。
せっかく音楽が流れているのですから、鍵盤を触っていない街中でもちょこっと音楽に耳を傾けて、鍵盤上手になってしまいましょう!
街は音楽であふれている!
ヤマハのグレード試験を受けなくてはいけない場面に直面すると、やれ即興演奏だ、やれモチーフ即興だと、厄介な課題が山積みになります。受験する級が上がってくると、自作曲の演奏も求められます。
味気のない問題集を買ってきても、今ひとつ求められている事をどう実現、実行したら良いのか、路頭に迷ってしまいます。
そこで、苦痛なく楽しみながら即興、作曲の勉強をするにあたり、とっても頼りになるのが、街にあふれる音楽です。
飲食店、服屋さん、スーパーでも薬局でも公的機関以外ならどこへ行ってもたいてい有線が流れています。これらにほんのちょっと耳を傾けるだけで、だいぶ即興と作曲の勉強になります。
と、いうのも、街で流れているあらゆる曲には、いわゆる音楽の「定番」がぎっしり詰め込まれています。十何年、何十年(クラシックのたぐいなら100年単位ですね)もの間、多くの人々から愛され続けた曲が好んでかけられているという訳です。流行りのものであれば、現在何万人何十万人という人の耳に入っている音楽なはずです。
なので、「長期にわたり」あるいは「多くの人々から」。またはその両方を兼ね備えた音楽が常に街にはあふれています。
BGMのこんなところを聞いてみよう
では、ただ流し聞きをするのではないのだとしたら、どのような点に着目して耳を傾けたら良いのでしょう?
ポイントは大きく3つあります。
1「お約束」を探る
2楽器や歌の音色を含めて、どんな表現をしているか聞いてみる
3自分で副旋律や合いの手を歌ってみる
では、一つずつ見ていきましょう。
1「お約束」を探る
お笑いの世界は「お約束」にたいへん厳しいように見受けられますが、音楽もそうです。
こうきたらこう、というのがメロディーやコード進行などにたくさん散りばめられて、たくさんの曲が成立しています。
歴史に名を連ねる大作曲家も、趣味でちまちま曲いじりをしている名もなき音楽家も、知らず知らずのうちにこの「お約束」の中で右往左往していると言っても良いでしょう。
100年経っても、多少の趣味嗜好は変われどだいたい人間という生物は変わりません。
食べ物も、美しいと感じるものも、そう大きくは変わらないはずです。
同じように、音楽に関しても、どのような動きが心地よいと感じるかは、そう変わるものではないと思います。
そういった「お約束」が、街で流れる有線には特にふんだんに散りばめられているので、自分なりの着眼点で、探ってみましょう。
メロディーの上下左右、コードの移り変わり、曲そのものの一連の流れ(展開のしかた)などなど…。聴けるところはたくさんあります。
2 楽器や歌の音色を含めて、どんな表現をしているか聞いてみる
音符的なことを聞くのも良いですが、音色を聞くことも大切です。
同じ楽器、同じ曲をやっていても、人が違えばもうまるで別の音楽になります。
なぜ、この音色がいいと感じるのか?
なぜ、この歌い方が上手に感じるのか?
その逆もまた、同じくらい勉強になります。
どうしてこの表現はどうも気にくわないのか?(例えば、『ああ、息継ぎしてる感じが足りないからだ』など。)
そういうことを考えながら曲を聞くと、お買い物をする最中に、いわゆる「ながら勉強」ができてしまうのです。
3 自分で副旋律や合いの手を歌ってみる
「聞く」方の分析に慣れてきたら、「演奏する」側にまわってしまいましょう。
(とはいえ実際に口ずさむのはボリュームを抑えて…。あるいは心の中に留めておきましょう。)
特にいつも私がやっているのは、「蛍の光」です。
閉店間際の定番BGMですね。
テンポもゆっくりで、曲自体もわかりやすく易しいので、あれこれ分析しつつ、合いの手を考えるのもやりやすいです。
しかも、どのお店でも、何回も繰り返しループで流れるので、練習になります。
ですが、蛍の光は『閉店するから早く買い物済ませてね〜!』という、いわば追い出しコールなので、あまり夢中になりすぎず、買い物は手短に終えてしまいましょう。
まとめ
こんな風にして、いつでもどこでも、鍵盤にさわれなくても、お金をかけなくても、作曲や即興演奏の練習はできます。
外出先で上の空になってしまっては問題ですが、少しくらい耳に意識を傾けてみても良いんじゃないでしょうか。