【耳コピーのやり方】ゆっくりやれば大丈夫

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耳コピーというと、ちょっと大変そうなイメージを持ってしまいがちですが、意外とそんなことはないんです。

コツは、何より簡単なものから始めること。

あせらずに、一つひとつステップを踏んでいけば、少しずつですが、確実にできるようになっていきます。こういうものは、突如としてできるようになるものではありません。なんとなく続けていくうちに、いつのまにか、『あれ?前よりも早くできるようになったな。』『前ほど苦労せずに音が取れるようになったかもしれない。』と、ふと思うときがやってきます。

なので、好きな曲だからといえど、いきなり全部やろうと思わないようにしてください。終わりが遠く、見えないと、嫌になってしまいます。

ゴールはなるべく近く。やるたびに達成感が得られた方が、早く上達します。

では、実際にどういった流れで音をキャッチしていくのか。耳コピーの簡単な手順の一例を、①から④までの4ステップに分けてご紹介します。

①とにかくメロディーをさぐる

ここのステップはさほど苦労しません。だいたいは、トップの音を拾えば良いのです。メロディーは大体一番上で鳴っています。鳴っている音全体の中で一番音程が高い、ということです。一方で、男性ボーカルがメインの曲などは、これが上下するので、一概にトップの音を取りましょう、ともいえません。一番前面に押し出されている音をとってみてください。

カラオケができる人なら、音がとれます。あとはそれを鍵盤で再現できるかにかかっています。最初は手探りでやっていくしかありません。これまでに曲をたくさん弾いていたり、遊び弾きが思うようにできていれば、考えるまでもなく指が動いてくれます。

本当に手探りのうちは、まず最初の一音目、『出だしの一音』を探すところからです。このぐらいの高さかな?もう少し低かったかな?その繰り返しです。

それがなんとなく決まったら、あとは二音目がそこからどれだけ上がっているか、下がっているか。三音目は…四音目は…。となっていき、それがうまくつながれば、採りたかったメロディーを鍵盤上で再現することができます。

読んでいると、途方もない作業のような気がしてくるかもしれませんが、実際に鍵盤に向かってしまえば、そうでもありません。ですがもちろん何事にも言えることですが、最初、というのは大変な困難をともないます。裏を返せば、大変なのは最初だけなので、少しの根気良さがあれば、すぐに楽しくなります。

すでに楽譜をかける人は、聞き取った音をメモをしながらやれば、紙に音符を覚えてもらいながらどんどん先に進めるので、作業が少し楽になります。楽譜がかけなくても、短く区切って覚えながらやれば、大丈夫です。あるいは、カタカナのドレミでメモをしていっても一向に構いません。最初のうちは、堅いことを言わずに、とにかく慣れてしまえば良いのです。

②ベースラインをさぐる

もちろん①だけで満足してしまっても良いのですが、せっかく鍵盤楽器をやっているのだから、次のステップに進みましょう。そこで、メロディーの次のステップとして最適なのが、ベースラインを探り当てて弾くことです。

ベースというのは、一番低いところで鳴っている音です。なので、メロディーの次にキャッチしやすいのが、このベースラインです。とにかく一番低い音を聴き取りましょう。

ここで注意したいのが、とりあえずのスピーカーであったり、YouTubedeで圧縮された音源だと、環境によってはベースというのは埋もれてしまって、聴こえにくくなる性質がある、ということです。ヘッドフォンやイヤフォンで聴くと、一番楽にベースラインをキャッチできます。音源の質にもよりますが、スピーカーが良質で、音響に恵まれた環境ならば、素のままでも大丈夫です。

それでもベースが埋もれてしまっていて聴こえづらい場合は、EQ(イコライザー)を操作して、バスがよく聴こえるようにしましょう。

加えて、ベースラインというのはメロディーラインと比べるとあまり動かないので、譜面をとりながら最初にベースをとっていたりすると、いち早くゴールが視界に入ります。(曲の終わりがこの辺だな、というのがすぐにわかります。)

ベースラインは、曲の全体的な構成を、ざっくりつかむのに、とても役に立ちます。

では、①でとったメロディーを右手で。②でとったベースを左手で弾いてみましょう。インテンポ(曲と同じ速さ)で弾こうとせず、ゆっくりで大丈夫です。ここまでできたら、次のステップにいきます。

③コードをさぐる

ここが3つのステップの中で、一番手こずるところです。しかし根気よく、1和音ずつとっていけば、必ず最後までたどり着きます。

基本的にコードは、①でとったメロディーと、②でとったベースの間を欲しい響きで埋めるようにして鳴らされています。なので、この2つのラインをヒントに、さぐっていきます。

いろんな曲を弾いた経験が脳に、指に積もっていれば、鳴っているコードの予想がよりしやすくなりますし、コードも自然とキャッチできます。

しかし、難しいコードがなっているときや、展開が速くて追いつけないときなどは、地道な作業をしていくしかありません。

わからないコードが鳴った瞬間に、一時停止!

その余韻、残響が耳の中に残るので、それを頼りに探っていきましょう。何回もこれを繰り返していくうちに、正解の音、あるいはそれに近いものが見つかります。

この一時停止に頼るやり方は、もちろんコードのみならず、わからない音があるときならどこでも使うことができます。どんなに難しい音でも、このやり方で大抵なんとかなるので、おすすめです。

④副旋律、飾りの音をさぐる

副旋律というのは、第2のメロディー、裏でなっているもう一つのメロディーのことです。メロディーにぴったり寄り添っている場合や、ちょっとした空白にパッと入ってきていなくなる合いの手的な役割を担っている場合などがあります。

①から③までが完了していれば、もうかなり曲が再現されていることとは思いますが、意外と曲の印象が左右されるような、大事なパーツがまだ残っている場合があります。まだ余力が残っているなら、副旋律までとってみてください。

ピントを合わせる感覚

以上が基本的な3ステップにプラス1をした4ステップです。①②③④の流れでコツとなるのが、それぞれにピントを合わせる感覚を持つことです。

①のメロディーなら、前面に押し出されたメインの旋律にピントを合わせる。

②のベースなら、一番低音で鳴っている旋律にピントを合わせる。

③のコード、④の副旋律なら、音色やリズム、パターンを頼りにピントを合わせる。

このピントを合わせる、という感覚がつかめれば、あらゆる音があらゆるタイミングによってに織り交ぜられている状況でも、一つのライン(旋律)をキャッチし続けることができるようになります。②で紹介したEQ(イコライザー)を操作しながら、音の元からピントを合わせてしまうのも、有効な手段です。

耳コピーへの小さな一歩

あるいは、耳コピー専用のアプリというのも存在します。音程を保ったまま、テンポだけ遅くして曲を流すことができる代物です。(アプリによる処理をせず、なにかしらのやり方でそのままテンポだけを遅くすると、音程も変わってしまいます。)使える手段はなんでも使ってしまいましょう。無理してがんばって、達成感の得られないまま、中途半端に投げ出してしまう方がもったいないです。

この流れはあくまで一例ですので、そのときどきによって適したやり方は変わっていきます。発見や工夫を自分なりに重ねていけば、より早く、楽に、正確に、曲を鍵盤で再現することができます。

どうしてもわからないところがあったら、『こうかな?』『これが近いかな?』というものをとりあえず当てはめておけば大丈夫です。経験を重ねていくうちに、『こう鳴っていたのか!』とわかる日がくるかもしれません。とりあえず、であったり、部分的に、というのが大事です。最初から全てを完璧に成し遂げるのは不可能です。

それ以前の問題で、まったくドレミの感覚がわからない。音程感なんてからっきし。耳コピーなんて夢のまた夢…、という方。ぜひあきらめないでください。

音楽教室へ通う子どもたちが、音程感を楽しみながら得るために、まず最初にやるのが、『ドレミでおうたを歌うこと』です。これを毎週毎週、たくさんやります。

つまり、音名を歌詞のように当てはめながら、メロディーを正しく歌うことで、この音はド、この音はレ、というふうに、一音ずつ的確にインプットしていくのです。音名でメロディーを歌う際には、鍵盤などで必ず正しい音程を確かめながら歌うようにしてみてください。

声に出してのインプットは、頭で考えるより、とても感覚的で効果的です。

耳コピーにおけるポイントをまとめます。

・簡単で、ゴールの近いものからやる。

・それぞれのパートにピントを合わせて聴き取る。

・完璧主義になりすぎない。