どっしりフォルム・三段鍵盤のこの電子楽器。街に溢れている、皆さんに浸透している呼び方は『エレクトーン』の方だと感じています。
中古品をやり取りする掲示板や、新聞広告など、いつも目にするのは『ピアノ・エレクトーン』という並びです。
しかしながら、私の記事ではこの楽器のことを『電子オルガン』という呼び方をするようにしています。
なぜそうしているのかも含め、今回は、この2つの呼び方について、解説していきます。
2つの名称の意味の違い
ざっくり言うと、
『電子オルガン』は総称、普通名詞です。
『エレクトーン』はヤマハのいち商品の個別名称です。
『電子オルガン』というのは、一般的な正式名称とでも言いましょうか。どこのメーカーの、とか、どの型番の、はさておいて、この楽器のこと全体を指す呼び方です。
『ピアノ』ですとか、『トランペット』というような呼び方と同じです。
『エレクトーン』と言うのは、ヤマハの作っている電子オルガンの商品名のことです。
ヤマハ以外の電子オルガンには、
『カワイ』の『ドリマトーン』
『ローランド』の『アトリエ』
『ナショナル(現:パナソニック)』の『テクニトーン』などがあります。
数ある『電子オルガン』の中の、ある一種類を指して『エレクトーン』という名前がある、と言えます。
よくある似た現象
その品物全体のことを指す言葉は他にあるのに、ある一つの商品名、『固有名詞』の方が世の中に浸透してしまった例を、いくつか挙げることができます。
身の回りにあるお馴染みの文房具ですが、『テープ』、『セロテープ』と呼ぶことが多いかと思います。
ところが『セロテープ』というのは、ニチバンという会社のいち商品名で、普通名詞・一般的な呼び方に当たるのは『セロハンテープ』となります。
ちょっと昔の話になりますが、『ファミコン』もこれに当てはまります。
ファミコンは、ご存知の通り、任天堂というメーカーの商品名です。しかしながら、これがあまりにも有名になってしまったため、他のメーカーのゲーム機に限らず、据え置き、携帯型の違いもおかまいなしに『ファミコン』と呼ぶ人が多かったみたいです。
『ルービックキューブ』も商品名です。なので、商品名を使わずに、このパズルを呼び表そうとすると、『正六面体パズル』という、なんともイメージの伝わりにくい表現になります。
きっかけは学校
私の通っていた学校では、電子オルガン科の中でもさらに、『エレクトーン』『ドリマトーン』『アトリエ』の三機種いずれかの専攻が可能でした。
私は、この大学時代に、初めてエレクトーン以外の電子オルガンに触れました。
触れたと言っても、他機種を専攻している友達の演奏を聴いたり、少し楽器に触らせてもらう程度のものでしたが、今までにはない、貴重な体験でした。
こっちにはこんな機能があって、こっちにはない音色がこっちにはあって、というように、どの機種も少しずつ違っているようでした。
他の2機種は、エレクトーンとはまた違った世界観があって、どの電子オルガンもとても愛おしく感じました。
電子オルガンを弾く人
ドラムをやる人はドラマー。
ピアノを弾く人なら、ピアニスト。
トランペットならトランペッター。
そんなような、特定の楽器奏者のことを指す呼び方が、それぞれあります。
ヤマハ界隈の世界では、もっぱら『エレクトーンプレーヤー』という呼び名・職業名が浸透しています。
ある時期から、私は果たしてエレクトーンをやっているけど、『エレクトーンプレーヤー』になりたいのだろうか、と考えるようになりました。
エレクトーンのことは大好きですが、楽器の形にとらわれることなく、もっと広く音楽を感じて表現したい、と思うようになりました。
『電子オルガン奏者』
これが私のやっていることをわかりやすく人に伝えるには適した言葉かもしれません。
でも、『鍵盤を弾く人』くらいざっくりとした表現の方が、今はしっくりきています。
なので、このサイトの名前も、『けんばんとくらす』という、なんともぼんやりとしていますが、広い視野で音楽と触れ合う心持ちを表したかったので、こういう名前になりました。
まとめ
後半はすっかり自分の話になってしまいましたが、
『エレクトーン』は商品名。
『電子オルガン』は一般的な楽器としての正式名称。
ということです。
誕生してから間もない、まだまだ可能性を秘めたこの楽器。私はこれからも、一生をかけてお世話になる予定です。