リバーブってかけると気持ちいいけど、不用意にかけすぎるのも問題だよね。
というお話です。
リバーブって?
リバーブとは音にかける効果、エフェクトの一種です。
あらゆるエフェクトの中で、もっとも身近なものなので、一番初めに出会うエフェクトなのではないでしょうか。
特にエレクトーンなんかだと、かなり目につく位置、そこかしこに『リバーブ』の文字が見受けられます。
音にリバーブをかけると、心地よい余韻(よいん)が生まれます。
リバーブ=余韻
と言ってよいでしょう。
もっともイメージしやすいのがお風呂場です。
お風呂場で歌をうたったことのない人って、ほとんどいないと思います。
いい感じに声がぼわぼわして、余韻が響いて気持ちよく歌えますよね。
この『ぼわぼわ』というのを、うまいことコントロールしましょう!
というエフェクトが、まさにリバーブです。
カラオケでのリバーブ
心地よいリバーブが得られるからと言って、お風呂場であんまり大きな声で歌うと、残念ながら近所迷惑になってしまいます。
気兼ねなく大きな声で歌うには、やはりカラオケでしょう。
このカラオケ、実は気がつかないレベルでほんのすこーし、細工がしてあります。
どういう細工かというと、へたっぴな人が歌っても『あれ?意外といけるのでは?』と思わせてしまうような細工です。
①リバーブでぼわぼわにする
②曲のテンポをすこーし速くする
実際にメーカーなどに確認を取ったわけではありません。
あくまで私個人が感じたものです。
では、この2点について。
①リバーブでぼわぼわにする
これは、『ピントがぼやけた状態にしてしまえば、はっきり見えないのでアラが隠れる』という効果を狙った細工です。
YouTubeやTVの映像などをイメージしてみてください。
画質が荒い映像だと、写っている人の表情の細かいところまでそんなにキャッチできなかったりしますよね。
それがHDだの4Kだの、ものすごい画質で見ると、細かいところまで(見えなくてもいいレベルのところまで)はっきり見えてしまいます。
また、よく聞く言い回しの一つに、『夜目・遠目・笠の内』という言葉があります。
これは、女性が(実際のところはどうかというのはさておき)美人に見える条件を、ちょっと面白おかしく言ったものです。
夜で暗くて、しかも遠いところにいて、雨が降ってて傘をさしている…。
それくらいぼやかしてしまえば、どんな『あら』も隠れてしまうので、どうでしょう、世の中の全ての女性を美人ということにしてしまえるのではないでしょうか。
②曲のテンポをすこーし速くする
多少へたっぴでも、調子よく駆け抜けてしまえばどうどいうことはないというもの。
楽器でも歌でも、ゆっくりな曲というのは、非常にむつかしいです。
表現力を真っ向から試されますし、あらを隠しようが有りません。
ノッてしまえば表現どうこうの世界ではなくなりますからね。
あんまり内容が濃くなかったとしても、ベラベラしゃべってすごい速さ&情報量のトークだと、なんだかそれだけで『この人のトークは面白いな』という感じがしてきます。
そんな感覚と似ていますね。
夜のディズニーランド
人間は、目でキャッチできない情報を勝手に脳内で補完する傾向があります。
なので、特に『あら』というわけではなくても、一番自分が心地よくなる情報を、その空白部分にあてはめて見てしまうんです。
昼間でも、もちろん夢のような空間のディズニーランド。
カラフルな景色と音楽にあふれています。(そしてゲストもあふれ返っています。)
それが夜になると、ぐん!と視界が狭くなります。
意外と明るい場所が少なくて、パークが全体的にかなり暗くなるんです。
そうすると、どうなるか。
きらびやかな光の集まるパレードはより映えます。
一方で、暗闇の部分を、みんなは脳内で一番都合の良いように解釈します。
つまり、キャッチしなくてもいい情報が多少隠れます。
リバーブで隠れる『あら』とはまた少し違う気もしますが、こういったところに、幻想的という言葉で表現される空間が生まれるのではないでしょうか。
あら隠しと心地よさの境目
リバーブは決して悪いものじゃありません。
なくてはならないエフェクトです。
でもお手軽なばっかりに、ついつい頼り過ぎてしまうのがこのリバーブ。
かければかけるほど、あらが隠れて上手に聞こえるし、輪郭がぼやけて幻想的な効果も出せます。
ふと思い出した瞬間に、『これってリバーブかけ過ぎてないかな?』と、いったん考えられるようになると、GOODです。
案外、リバーブを全部OFFにすると、目の前で演奏しているかのような臨場感が出て、かえってよくなったりもします。
そんなようなことが、思考停止でリバーブばっかりかけていたあの頃の自分に、言いたいことですね。
雑談のような文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。