私は電子楽器育ちなので、よく慣れたかる〜い鍵盤からいきなり生ピアノの鍵盤をガシガシ弾いたときの衝撃といったら、すごいものでした。
電子オルガンや電子ピアノの鍵盤は『カタカタ』という感じ。
それに対して、生のピアノは『コツコツ』に近い感じでしょうか。
今となっては、どちらの鍵盤もなんの抵抗感もなく弾けるようになりましたが、小さい頃の印象としては、とにかくエレクトーンは軽い、ピアノは重い、といったものでした。
重い鍵盤、実はそんなに頑張らなくていい!
ピアノは重い、と先ほど言いましたが、重いからといって一生懸命力いっぱい弾かなければならないかというと、そうではありません。
確かに弾きごたえはありますが、『腕そのものの重量』をそのまま利用すれば、意外と楽にいい音が鳴ってくれるのです。
少し試してみてください。
肩の付け根から、思いっきり左腕を完全に脱力して…それを荷物だと思って右手で持ってみましょう。
意外とズッシリ来ませんか?
人間の腕って、立派な重量があるんです。
これをポーンと鍵盤に『乗せるだけ』。
指先で鍵盤を弾くのではなく、肩から腕から、全部の重さを利用して弾くと、ラク〜に生ピアノの鍵盤を演奏することができます。
ちょっと言い回しは違いますが、この『腕の重さを利用して鍵盤を弾く』というものは、音大時代のピアノの先生から教えてもらいました。
それからは、また一歩ピアノとの距離が縮まった感じがして、生のピアノを触るのが楽しくなりました。
ピアノによって鍵盤の重さがだいぶ違う
ピアノは生き物ですから、鍵盤の重さ、硬さも個体差がめちゃくちゃあります。
アップライトなのかグランドなのか。置いてある環境はどうか。どんな人がどのくらいの頻度でピアノを弾くのか。はたまたメンテナンスは…?様々な要因でピアノの鍵盤の硬さは変わってきます。
今までの私の経験だと、お教室にあるような、不特定多数の人が始終触っているようなピアノは、比較的ふつう〜やわらかめの硬さです。(こう書くと、歯ブラシみたいですね。)
やはり、ガンガン弾き続けていれば、鍵盤もなめらかになっていくのかもしれません。
年季の入ったピアノだと、やはり鍵盤はやわらかめで、軽いタッチですぐにいい音が鳴る印象があります。
鍵盤の硬さについては、『いかに弾き込まれているか』が一番の決め手でしょう。
人生で一番硬かったピアノ
小学生の頃から、合唱の伴奏でよくグランドピアノに触れる機会が多かったのですが、そんな中出会ったのが、私の人生の中で一番鍵盤が硬かったグランドピアノです。
そのピアノがを弾いたのはたった一度だけ。
地元のでっかいホールに常設されていたグランドピアノでした。
地域の小学校の生徒たちが集まって、学校ごとに合唱を発表するような機会があったのですが、その会場のグランドピアノの硬さといったら、それはもう鬼のように硬くて重くて…。あの衝撃は今でも忘れられません。
自分の小学校の発表は2曲あって、私は1曲目を伴奏し、2曲目は友達が伴奏することになっていました。
やはり、鍵盤がどれだけ硬いのかが気になるよね、ということで、先発の私が友達に『もし鍵盤が硬かったらアイコンタクトする』という流れになりました。
いざ、鍵盤に触ってみると、鬼のような硬さ。普段通りの力では、5割ほどしか音が鳴っていかないような絶望感。腕の重さを利用すれば良いということも知らない私には、力いっぱい一生懸命鍵盤を押すしか方法がありませんでした。
予想だにしていなかったあまりの硬さっぷりに、ステージ上ですれ違いざまアイコンタクトを通り越して笑ってしまったほどです。
なぜ、あそこのホールのピアノはあんなに硬かったのだろう。
今でも心に残る、衝撃の激硬グランドピアノです。
蓋の開け閉め
ピアノの鍵盤の硬さは、蓋を締め切っているときが一番硬くなります。
口をあまり開けないで、大きな声を出そうとするよりも、口を大きく開けた方が、自然で楽に大きな声が出ますよね。ピアノも同じです。
蓋をちょっと開ければそこそこの硬さに。蓋を全開にすれば、音が詰まらずに最後までスッと抜けていってくれるので、タッチも軽やかになります。
音量を気兼ねなく出せる環境ならば、蓋を思いっきり開けて、開放的にピアノを触りたいものですね。