本日3月3日は、『ひなまつり』です。
街のスーパーやコンビニでは、ケーキや寿司といったご馳走が所狭しと並んでいます。
お誕生日、クリスマスとまではいきませんが、『おいしいものを食べる口実』が得られる日ですね。
そんなひなまつりといえば、こちらの童謡。誰もが耳にしたことのあるメロディーといってもよいでしょう。
『うれしいひなまつり』 作詞:サトウハチロー 作曲:河村光陽
この曲は、聴いての通り長調ではなく『短調』の曲です。
私はこの曲を聴くと、『日本み』(日本っぽい)を感じる音遣いがなされていて、とても趣のあるメロディーだと思います。
しかし、聴く人によっては『短調だから暗い』『なんだか不気味』と感じる人もいます。
どうしてこのメロディーを聴くと、『日本み』を感じるのでしょうか。その秘密は、『音階』(どの音をつかうのか・つかわないのか)に隠されています。
今日は、この『うれしいひなまつり』のメロディーで、『日本の音階』について、触れていきます。
ルール(規則性)を見つける
まず、このメロディーの中で、『一度もつかわれていない音』を見つけてみます。
わかりやすくなるよう、イ短調(♯・♭なし)で表記しました。
これを順番に並べてみると
『ソ』の音が一度もつかわれていません。ここがポイントです。
(不思議なもので、7つある音階の中の音の1つでもつかわないように縛ると、独特な響きを持った音階が完成してしまいます。)
このメロディーは、厳密ではありませんが『ヨナ抜き音階』という音階のルールをもとにして、成り立っています。
『ヨナ抜き音階』
ここで、この『日本み』のモトである、『ヨナ抜き音階』(短調)を見てください。(これは、日本の伝統的な音楽に使われる音階である、『陰音階』というものがもとになっています。)
この音階では、『レ』(4ばんめ)・『ソ』(7ばんめ)の音がとばされています。4と7がないので、ヨ(ん)・ナ(な) 抜きです。
先ほども述べたように、メロディーに一度だけ『レ』が登場するので、厳密にルールにのっとっているわけではありません。
実験
ひとつ、試してみましょう。
厳密にヨナ抜き音階をメロディーに当てはめてみると、こんなメロディーになります。(音源は最初の2小節のみです)
私はこれでもかっこいいと思うのですが…。
多くの人に受け入れられやすいのは、確かに原曲のメロディーの方かもしれません。
まとめ
そんなわけで、なぜこの『うれしいひなまつり』が『日本っぽいメロディーだ』と感じるかというと、
伝統的な音階をもとに作られた、『ヨナ抜き音階』という音階のルールにのっとりつつ、かつ親しみやすいように工夫されているから。
ということになります。
身近なメロディーから、このように音階のルールを見つけていくのは、とても楽しいことです。
音階には、『〇〇っぽいメロディーだな』と感じさせる力があります。
このように、一つずつ気になる音階を研究していき、最終的に『自分らしさあふれる・自分にぴったりな音階』を発明することができれば、作曲の大きな手がかりになります。