裏コードというのは、いわゆるオシャレコードのひとつです。
日常生活で耳にする機会がわりと少ないコード進行なので、これが使われると、たちどころにジャズっぽいな、凝ったコードだな、という雰囲気になります。
そんなとっておきの裏コードですが、じつは幼稚園児にも使えるくらい簡単なワザです。なぜなら、
『たどり着きたいコードの半音上を弾く』
裏コードとはたったこれだけのことだからです。
Cにたどり着きたいならこのように。
Fにたどり着きたいなら、このようになります。
では、一つずつくわしくみていきます。
Q【たどり着きたいコードとは?】
A【裏コードを使用するひとつ後のコードのことです。】
裏コードというのは、それ単体で成り立つものではなく、『どのコードにたどり着きたいか』という結論ありきの存在です。
なので、『裏コードを使ってからその後このコードを鳴らしたい。』
という順に考えるのではなく、
『このコードを素敵に鳴らしたいから、裏コードをここで鳴らそう。』
という順番で、コードの進み方を考えていくと、比較的うまくいきます。
Q【半音上というのはつまりどういうこと?】
A【その和音で使っているすべての音に、♯(シャープ)をつけるイメージです。】
裏コードを使って、『C』というコードにたどり着きたいとき、まずはその『C』がなんの音で構成されているかを思い浮かべます。
『ド・ミ・ソ』の3つの音で成り立っていることが確認できました。
では、この3つの音すべてに、♯(シャープ)をつけていきましょう。
そうすると、『ド♯』『ミ♯』『ソ♯』という和音が、できあがります。
この、『ド♯ミ♯ソ♯』こそが、『C』の裏コードであるというわけです。
Q【裏コードはどういう場面で使ったらいいの?】
A【 曲の終わりや、特に魅せたい部分に使うのが効果的です。】
あまり乱用するような手法ではないので、ここぞというときのために、とっておきましょう
裏コードは、一瞬眉をひそめるような感覚と似ています。
曲が流れている中で、まったく音階の中の音とはかけ離れたコードを突然鳴らし、一瞬聴き手に『ん?』とおもわせ、次の一手で意図したコードにたどり着くことによって、その部分が非常にひきたちます。
ちょっとびっくりさせる、サプライズでとがったひびきこそが、裏コードです。
【ひとこと】
音大時代の授業の中で、この裏コードの説明がいちばんびっくりした授業だったかもしれません。
もはや覚えていませんが、厳密に・まじめに裏コードを探り当てようとすると、ものすごい調を経由し、長い長い旅路の末にようやく発見できる奇跡のコードのような説明でした。
しかし私の考えでは、最終的にその音・コードを手でおさえることができて、ある程度正しい鳴っていれば問題ないので、このような覚え方をしています。
こむずかしく見えるコードも、見方ひとつで簡単に習得することができます。