ダブルシャープとは
ダブルシャープとはその名の通り、シャープ2こぶんの働きをします。
鍵盤で言うと、もとの音より鍵盤2個ぶん上の音を弾くことになります。
万人に向けた楽譜では、なかなか目にすることがないので、同じく変化記号のシャープ・フラットなどと比べると、少し応用編のような感じがして、身構えてしまいますよね。
普段あまり見かけない、ルールが少しややこしい、という2点において、ダブルシャープは少し厄介です。
よく誤解してしまいがちな基本ルールと使いかたを、あせらずゆっくり見ていきましょう。
鍵盤を使って考える
ダブルシャープを理解するには、鍵盤で考えるのが最適です。
『もとの音』・『そこから2つぶんのシャープ』とはどういうことなのかを、順を追ってお話しします。
ではシンプルに、このダブルシャープがついた『ド』は、どこの鍵盤を弾くのか、というところから始めましょう。
(音名で鍵盤を表現すると混乱を招いてしまうので、鍵盤には番号を振って、番号で識別していきます。)
もとの音、つまり記号が付く前のナチュラルな『ド』の状態は、もちろん1の鍵盤です。
そこにシャープが1つつけば2の黒鍵。
そしてもう一つシャープがついたので、3の白鍵へ。
なので、この3の鍵盤こそが、『ダブルシャープのついたド』という音符が記された場合に弾くべき鍵盤です。
直前にシャープが出てきた場合
結論から言えば、ダブルシャープは同じ小節内・同じ高さの音にシャープがついていても、まったく影響を受けません。
これは、ダブルシャープでもっとも注意すべき点になりますが、(前の変化記号に関係なく)あくまでももとの音に対し、シャープ2こぶんがつけられるということです。
例えば、同じ小節の中で『ソ シャープ』→『ソ ダブルシャープ』という順で音符がでてきたとします。
この場合、弾く鍵盤は、先ほどの画像で示すところの『9』→『10』となります。
もとの音というのが、ナチュラルな『ソ』なので、スタートする鍵盤は8の白鍵。
そこにひとつシャープがつけば9の黒鍵になり、
ふたつシャープがつけば10の黒鍵になります。
なので、同じ小節内で同じ高さの音にシャープが付いていても、フラットがついていても、ダブルシャープにはまったく影響しないということになります。
調号とのかね合い
調号ですでにシャープがついた音に対し、ダブルシャープが付けられている場合。
これも先ほどの項目と同じく、まったく影響を受けません。
調号よりも、ダブルシャープのような臨時記号の方が優先されます。
ダブルシャープは、常にもとの音に対し、シャープ2こぶんが付けられるという意味で、それがくつがえるような条件はありません。
このような調号(『ソ』に対し、すでにシャープが割り当てられている調号)のもとで音符が動いていたとしても、弾く鍵盤は『9』→『10』ということになります。
ダブルシャープはここが便利
ここまでで、なぜこんなにややこしい変化記号が存在しなければならないのか、疑問に思われたかもしれません。
ご安心ください。ちゃんと役に立ってくれる変化記号だからこそ、現代まで使われ続けているのです。
このメロディーを聴いて、どのようにドレミで(音名で)歌いたくなりますか?
ちょっと捉えるのが難しい音列ですが、きれいに音が隣り合ってる感じが伝われば十分です。
例えるなら、『ドミソド…』と飛び飛びになっているようなメロディーではなく、『ドレミファ…』というようにずらりと等間隔で並んだ音、といったところでしょうか。
(私はシャープ寄りに聴こえるタイプなので、『ファソラシドレ | ミレドシラソ』と歌いたくなります。)
これを、ダブルシャープを使わずに楽譜にすると、このようになります。
この楽譜だと、音符が等間隔で並んでおらず、メロディーを聴いたときの『きれいに隣り合っている印象』が薄れてしまいます。
では、ダブルシャープを使って楽譜を書いてみましょう。
これで、『きれいに隣り合っている』という印象も、楽譜で表現することができました。
『どう聴こえるか』、『どのように歌いたいか』をなるべく忠実に表現することで、ぱっと見ただけでわかりやすく、伝わりやすい楽譜を書くことができます。
人に伝える目的だけでなく、のちに自分で使う場合にも、こういった工夫が役に立ちます。
おつかれさまでした
『ダブルシャープが使われているからこう読む』というより、『こう読んで欲しいからダブルシャープが使われている』と考えられると、楽譜を読むのが少しラクになるかもしれません。
コメント
臨時記号は調号よりも優先されるというルールを説明した方が手っ取り早いのではないでしょうか?
コメントありがとうございます!
参考にさせて頂きます。