楽譜によく出てくる『くり返し記号』。(リピート記号と言うこともあります。)
この4つさえ押さえておけば、もう安心。楽譜で迷子になることはありません。
くり返し記号の種類
まずは目次がてらメンツを紹介。
1 リピート記号(『反復開始』『反復終了』の記号)
2 ダルセーニョ、セーニョ
3 ダカーポ
4 トゥーコーダ、コーダ
その他 フィーネ
ではそれぞれ見ていきましょう!
1 リピート記号(反復開始&終了)
いちばんよく見かける反復記号がこれです。(エヴァンゲリオンの映画タイトルにも使われていますね…)
そして意味もルールもいちばんカンタン。
とりあえずこの記号が出てきたら、
『2つのボールが壁にぶつかって、跳ね返る感じ…』と覚えればOKです。
呼び分けるために『反復開始』『反復終了』としていますが、どちらにしても単純に『リピート記号』と呼ぶのが普通です。
パターン1:反復終了 のやつだけ
そのまま最初まで戻ります
パターン2:反復開始&反復終了 合わせ技
『反復開始』のところまで戻されます。反復開始の記号が書いてあればそこに戻る。書いていなければ最初まで戻る。
反復開始の線の方が先に書いてあるので、見逃し注意です。
パターン3:カッコ1カッコ2
カッコ1をやって、跳ね返されてカッコ2をやって、次に進む感じ。そのままカッコ1=1回目、カッコ2=2回目という意味。
カッコ1をやる
↓
反復開始 or 最初まで戻る
↓
カッコ2をやる
2 ダルセーニョ
ダルセーニョはこれ。
相方のセーニョはこれ。
『ダルセーニョ!』と呪文を唱えられたら、セーニョがいるところまで飛ばされます。
セーニョの方が手前にいるので、見逃し注意です。
3 ダカーポ
なんと『振り出しに戻る』記号です。
問答無用で楽譜の頭に戻されます。
でも、だいたいそのあとどこかしらで、次に説明する『トゥーコーダ』や『フィーネ』に救済(?)されることの方が多いです。
丸ごと2回分演奏する事は、めったにありません。ご安心ください。
4 トゥーコーダ
トゥーコーダはこれ。(to coda と文字でかく場合もあり。)
相方のコーダはこれ。
『トゥーコーダ!』と呪文を唱えられたら、コーダがいるところまで飛ばされます。
先ほどのセーニョと違うのは、コーダは今まで通った道にはいない点です。
楽譜の後ろの方に、離れ小島みたいになってコーダが待ち構えていることが多いですね。
そして、トゥーコーダの司令自体は、他のくり返し記号と混ざって出てきます。こんな具合です。
曲の終わりの部分に飛ばされるのがトゥーコーダですが、曲の終わりの部分そのもののことを『コーダ』と呼びます。『エンディング』と同じ意味合いです。
使用例:『この曲コーダの部分なんとかならないの?』『書き直します…』
その他 フィーネ
強制終了、です。
とにかく『フィーネ!』と唱えられたら、そこで曲はおしまい!
ダカーポ、ダルセーニョと併せて出てくる記号です。フィーネ自体にくり返しの機能は搭載されていませんが、くり返し記号と一緒に出てくるので、この機会に覚えてあげましょう。
パターン1:ダルセーニョとコラボ
パターン2:ダカーポとコラボ
くり返し記号を使う意味
あれこれとくり返し記号の種類をあげていきましたが、これってすごく便利な記号なんです。ほどよく使えば楽譜を書く人も読む人もハッピーになれる、素敵な記号です。
『ほどよく』というのがポイントで、あんまり複雑だとトラブルの原因になりかねません。あちこちにワープしまくっていると、楽譜で迷子になってしまいます…。
☆メリット:省スペース
楽譜を短く終えることが出来ます。楽譜が短くなれば、書く人も楽チンです。読んで演奏する人には、『譜めくりの回数が減る』という大きなメリットがあります。
譜めくりというのは、すごく上手にやらないと、演奏が不自然になったり、ミスの原因になったりしてしまうので、とても煩わしいものです。なければないに越したことはない!という感じ。
くり返し記号を使って、楽譜がコンパクトになるのなら、みんな大喜びすることでしょう。
☆デメリット:ちょっと頭を使う
楽譜の中で、何種類ものくり返し記号がせめぎあって、まるでいじわる問題かのようにあちらこちらにワープゾーンが散りばめられていると、当然のように混乱を招きます。
『ここはもう1回演奏するのかな?』
『ここからどこにワープするのかな?』
と頭を悩ませているうちに、演奏がザツになってしまったら元も子もありません。
特に、その場で見る楽譜をその場で処理しなくてはならない場面や、それが複数人でのアンサンブルだと、事は重大になってきます。
『今何小節目かわからない!』と、迷子になってしまってはもう大変。(アンサンブルでもしそうなってしまったら、決してあきらめず、もう一度入れるタイミングをひたすら探しましょう!)
おまけの話
私が小学生の頃、まだまだ手書き楽譜全盛期だった時代の話です。
自分で作った曲、自分が書いて自分が読む楽譜ですから、『自分がいちばんわかりやすいように書こう!』と思ったのです。ついでに楽もしたかった。
セーニョやコーダがなんだかとっつきにくかったので、『ハートマーク』や『ほしマーク』でワープするルールを勝手につくり、そんなようなマークを自分の楽譜に書き込んでいました。
アナログですから、書き直しになるのがとても嫌でしょうがなかったです。なんとか、どうにかくり返し記号、もといワープマークでなんとか書き直さずに楽譜をそのまま利用出来ないか、と奮闘していました。
中学生くらいにもなると、そんなに書き直しの手間が苦ではなくなったので、楽譜がぐちゃぐちゃにならないよう、わりと書き直していたような記憶があります。
おつかれ様でした!
長年音楽をやっていますが、いざくり返し記号を自分で使う場面に出くわすと、『あれ?これでいいんだっけ?』と既製品の楽譜を引っ張り出すことがよくありました。
今度からは、自分でこの記事をもう一度見れば解決しそうです。
確認作業はとっても大事です。
皆さんも、楽譜を見ていて『あれ?』と思ったら、また読みにきてくださいね!